第53章 疑惑
「ええい!どうなっておる!!」
奥脇は癇癪を起こしたように怒り狂い、報告をした江藤に怒鳴り散らす。
いつもと違い、自身の思い通りにならないことがこの上なく苛立たしい。命令を実行出来ない江藤も視界に入れたくない程目障りに思えてしまう。
江藤は奥脇の怒りに只々小さくなって耐えるしかなかった。
「奥脇様。七海様は私の連絡を絶っているようで全くつながらないのです。七海様に連絡がつかないことには…」
「もうよい!!わしがやる!!出て行け!!」
江藤の言い訳を途中で遮り、退室を命じる。
「…承知致しました。」
江藤は小さくなったまますごすごと部屋を出て行った。