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君に届くまで

第2章 時空を超えて


次の日、朝から川辺に沿って探索するもやはり何もない。
こんなに人に出会さないのも初めてだ。
いくら人のいない地域であってもこれだけ豊かな緑がある場所で一人も見かけない事はまず無かった。

ここは一体どの辺りなのだろうか。火の国の中なのか、それとも国外か。
せめて現在地だけでも分かればいいが。

「さすがに疲れたな。」

独り言を呟きながら適当な川辺で火を起こす。
結局今日も収穫はない。思わずため息が出る。

レンは一人黙々と腹拵えをし、傷口の薬草を替え、早々と眠りに就いた。





次の日、目が覚めるとなんだか身体が怠い様な気がした。
傷口を見ると赤く腫れて熱を持っている。

ーまずい、感染症かもしれない。

早く手当てしなければ、そのまま敗血症になる。

レンは歩き出した。一人でもいいから見つけなければ。
早る気持ちを持て余しつつ、また川辺に沿って歩き出した。

日が中天を通り過ぎた頃、視界が開けてきた。
日差しを直接浴び、目を眇める。山を越えたらしい。

斜面を下った少し先に大きな屋敷が建っていた。
遠目から見ても広い。大名屋敷だろうか。
見た事がない地形だった。
屋敷の向こうは、見渡す限り草原が続いていて、他には何もない。
屋敷は、塀でぐるりと敷地が囲われている。
敷地には何棟か点在していて、それらが全て渡り廊下で繋がれている。
広大な土地を悠々と使った贅沢な造りだ。
さぞかし名のある大名の隠れ家なのだろう。

薬や食べ物を分けてもらえるだろうか。

少し屋敷の様子を見る事にした。
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