第2章 時空を超えて
火の国にある木の葉の里、所謂忍の隠れ里。
それが彼女の出身地だ。
彼女の名前はレン。
レンはかつて、暗部に所属していた。
それも地下組織の”根”直轄の暗部だ。
だが、レンには欠点があった。
人が死ぬ場面を見る事が出来ず、流血を酷く恐れた。
暗部としては致命的だ。
レンは戦力外と見做され、情報収集要員として活動していた。
しかし、ある時ふと嫌気が差し、ふらりと逃げ出し抜け忍となる。
情報収集の場所も場所だったので、嫌気がさすのも無理はない。
それからは追われる日々だ。
それでも生きることだけはやめなかった。
かつての友の遺言だったからだ。
この命をくれた友に報いることがレンの生きる糧だった。
友の願いの通りに、木の葉の一助となる事だけを目的に生き抜いてきた。
抜け忍となった事は後悔していない。
あそこにいても飼い殺しにされ、ただ朽ちていくだけだっただろうから。
木の葉の一助にはなれるだろうが”生きている”事にはならないだろう。
ーさて、ここからどうしようか。
まずは周辺を探索しなければ、とレンは思う。
見たところ周囲に人の気配がない。
治療をしなければならないが、身一つで逃げてきたので包帯も傷薬も何もない。
チャクラも上手く練れないことから、あまり回復できていないのだろう。
ー探索、できるだろうか…。
とりあえず周辺を歩き回ってみる事にする。
やはり、というべきか。何もない。
行けども行けども広大な森が広がっているばかりだ。
取り敢えず食べれそうな木の実や草の実を確保して、傷薬に使えそうな薬草を採っていく。
川辺で火を起こし、木の実を大きい葉に包んで焼いていく。
薬草も火で炙って殺菌し、揉んで傷口に当てていく。
気休め程度だがやらないよりはマシだろう。
簡単に腹拵えをし、その日は休む事にした。