• テキストサイズ

君に届くまで

第53章 疑惑





「また来るわ。」

七海はそう言って、水晶に霊気を流すと方陣に立つ。
それに続いて長谷部、瀬戸が方陣に入ると、足元が光りだし、七海達を包み込むとしゅっと消えていなくなった。後には光の粒子が霧散する。
レンはそれを見送ってから踵を返した。

広間に着くと、刀剣達はご飯の準備をしているところだった。

「今日は、お赤飯だよ〜!」

乱が楽しそうにレンを呼ぶ。

「へぇ…。なんか嬉しいことでもあったんですか?あ、そう言えば魂縛りを跳ね除けたって言ってましたね。」

レンは早速ご相伴にあずかろうと、いそいそと広間に上がる。

「…いやいやいや。違うから。レンのご帰還だからだよ!」

「そうですよ。心配しました。」

それを乱と五虎退は頬を膨らませてレンを見る。

「…大袈裟ですよ。そこは術破りの方が快挙じゃないですか?」

レンはずっこけたい気分で彼等に返した。

「ま、どっちでもいいさ。元の鞘に戻って万々歳ってことで。」

鶴丸はよそったおかずをそれぞれに配りながら笑う。

「準備はいいかい?じゃあ、席について。」

燭台切の掛け声で、皆はそれぞれの席に座り、合図を待つ。
レンも席に着くと、ご飯の献立をしげしげと眺めた。
赤飯のごはん、菜葉の胡麻和え、赤かぶの甘酢漬け、大根と葉物の味噌汁。いつもと比べると少し豪勢だ。

「漬物はね、二十日大根だよ。食べ頃になったから収穫したんだ。」

レンは少し驚いて、燭台切を見てから漬物を見る。
確かに小ぶりだが、よく出来ていると思う。
/ 1263ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp