第52章 審神者代理
加州とて、レンと五稜郭へ潜入しているので、彼女の能力が如何に並外れているかを知っている。
しかし、鴉との戦闘で大怪我をしているのも知っている。
レンとて万能ではない。
油断して失うくらいなら、過保護と言われても出来る限り危険から遠ざけたい。
「でも、レンは女の子だし。本当は守られて然るべき存在だし。」
加州は、尚も食い下がるように理由を上げて並べていく。
けれど、それで止まるレンではない。
「残念ながら、私は人から守られることを良しとしません。
私は強いです。守られる立場より、守る立場にいたいです。」
加州を正視するレンの瞳には、気後れや迷いの類は一切見られない。
ここまで真っ直ぐ言われては折れないわけにはいかないだろうと思ってしまう。
「…レンはずるい!」
加州はそう言って、半泣きでレンの肩を揺さぶった。
「…なんでよ。」
レンは訳がわからず、半眼で加州を見る。
「心配ならさ、ローテーションでレンに現代へ付き添えば?そうすればみんな文句なく均等にレンの近侍が出来るよ?」
乱が提案をすると、
「お。いいなそれ!のった!」
太鼓鐘が膝を叩いて賛同した。
「まぁ、一人にしておくよりは気が楽だよな。」
「確かに。ついでに言うと、目に届く範囲にいてもらいたいものだよね。」
鶴丸と燭台切はやれやれと、肩を落として賛同を示した。
「じゃ、決定でいいんじゃないか?」
厚が皆を見回しながら意見を纏める。