第52章 審神者代理
「っていうか、そんなことしてどうすんだ?」
瀬戸は、不思議に思ってレンに尋ねる。
「彼等の安全が確保できれば、私は自由に動けるじゃないですか。そしたら瀬戸さんを手伝うことだって出来ますし。」
「お前はもうここから出るな。」
瀬戸は即答で返した。
審神者に手伝ってもらうなんて、そんな常識外れなこと出来るわけがない。
「いやいや、私の能力があれば仕事捗るって言ってたじゃないですか。証拠集めだって格段に精度上がりますよ?」
「ゔ…。」
確かに、と瀬戸は揺れる。
仕事の進捗は段違いに捗った。
「だ、ダメだって。レンにはここにいてもらうの。」
それを見ていた加州は、急いでレンの側に行き、止めに入る。
「あの、聞いてました?次は何してくるかわかんない奴が野放しになってるんですよ。本丸存続も危ういんですよ。なら、さっさと片付けたいじゃないですか。」
何を言っているんだ、と言わんばかりに加州の肩を掴む。
「ダメってば。レンはすぐ危ない方に首突っ込むんだから。」
だが、加州も負けじと肩を握るレンの手を取り、しっかり両手で抱え込む。
だが、違う方から横槍が入ってしまう。
「いや、今回に限っては行ってもいいと思う。」
「僕も。」
燭台切と大和守だっだ。彼等はレンを後押しする。
「安定!」
加州は何を言い出すのか、と言わんばかりに制止をかける。
「わかるけど。でも潜入するにしても、普通の人がやるよりレンがやる方が、ずっと効率がいいっていうのは否定できないよ。」
大和守と燭台切は、工事現場でレンが普通の人が行けないような場所にすいすい入って行ったり、倍の量の資材を運んだりしていたのを、ずっと見ていた。
レンは自分の能力をかなり抑えていたにも関わらず、だ。
瀬戸もそういったレンの能力を買っているのだと2人は思う。