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君に届くまで

第52章 審神者代理



皆で、少し休憩を挟んでから再び円状に集まった。

「奥脇は政府では、かなり高い地位にいるの。」

七海は切り出した。

「奥脇の役割は、関東エリアの総責任者で、審神者任命の権限を持つの。そして本丸の申請承認の8割方の権限も持っているわ。」

「…かなり大御所と言えませんか?」

権力者を相手取るのは何かと厄介だ、とレンは顔を顰める。

「そうね。何せ娘2人も審神者に立てて、1人は10年近くその任に就いているのだから。」

審神者の親族は何かと優遇される良い実例だと、七海は思う。
尤も、この措置は審神者として亜空間に留まってもらう為の、政府からの償いのようなもの。
奥脇のように進んで娘を人身御供に差し出す為の餌ではない、と七海は強く思う。

「2人、ですか。もう1人は?」

レンは、七海に姉がいることが気になった。

「亡くなったわ。」

「そうですか…。」

しかし、七海には詳しく語る気はないらしく、すぐに打ち切られてしまう。

「話を戻すわね。奥脇の目的は、知っているかもしれないけれど、地位の確立よ。
地位さえあれば、富は約束されるし人も群がる。人が群がれば、悪巧みも容易だし自分達の都合のいい世界を作れる。」

「今までその現状を訴えようと思った人はいなかったんですかね?」

「どうでしょうね。そんな正義漢いたのかしら?
けれど、あの男は邪魔なら平気で排除すると思うわ。メイドにそういう人がいたのよ。少し父に意見したらすぐに辞めさせられたって人が。」

そう言って、七海は眉を顰める。
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