第52章 審神者代理
「あなたにわかって?
何の前触れもなく、お母様とも姉様とも切り離されてここに閉じ込められる恐怖が、憤りが。
それも碌に娘を娘として扱ったことのない男からの命令で。無理矢理、拉致されるように連れてこられたのよ。
それで親子の情を持てると思うの?」
そう言って、七海はレンを睨め付ける。
「…まぁ、無理でしょうね。」
レンは疑いを解いたが、それでも懸念は僅かに残る。
それを払拭する為、更に揺さぶりにかける。
「もし、お父さんが失脚したら。或いは死んだら。七海さんはどうなりますか?」
レンは僅かにニヤリと笑う。
七海はそれを嫌そうに見た後、鼻で笑った。
「あの男がどうなろうと、私には関係のないことだわ。
既に私は10年審神者を務めてきて、実績もそれなりに積んでいる。
あの男の庇護下からは、とうの昔に出ているわ。」
レンはニンマリと笑う。
この人は白だろう、とレンは考える。
ーいい味方が来たもんだ。
「色々聞いてすみませんでした。
事情はわかりました。私はあなたを信じます。
続きを聞かせてもらえませんか?」