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君に届くまで

第52章 審神者代理



「そうよ、奥脇は父よ。生物学的にはね。」

「生物学的…?」

「家系図で見ると、って意味よ。事実として、確かにあの男との血の繋がりはあるわ。私は親だとは思っていないけど。」

レンは淡々と述べる七海を注視する。

「…まるで親子の情は無いかのように言いますね。」

「事実、無いわ。」

「けれど、お父さんのおかけで審神者になれたのでは?」

「レン!!よせ!」

それまで黙っていた瀬戸がレンを止める。
瀬戸は七海のこれまでを知っているが、レンは知らない。
レンからすれば、七海は放っておくことの出来ない一番の危険因子に見えるのだ。

「いいのよ、空斗さん。預かり知らぬ所で調べられて疑われるよりは、自分で言って疑いを向けられる方がずっと清々するもの。」

そう。知らぬ内にあらぬ疑いを向けられること程、不愉快なことはない。
それも、あの男のせいで。

七海にとって、奥脇と繋がりがあると思われること程虫唾が走ることはないのだ。
それに、奥脇の娘と知ってレンがどう動くつもりなのか、はっきりと見定めておきたかったのもある。

「なら、遠慮なくお聞きします。
娘であるあなたは、本当は私を追い出したいのではないですか?お父さんを助ける為に。或いは命令により。
現に、江藤の目的は私を殺すことでした。
なのに何故私に、江藤との繋がりや血の繋がりを暴露したんですか?」

「ほんとに遠慮が無いわね。
そうね…、暴露って程でもないわ。
確かに世間から見たら、私は審神者に”させてもらった”んでしょうね。
けれど、私は。私達姉妹は。
あの男にある日突然、審神者に”させられた”のよ。」

それを聞いた途端、レンの瞳から疑念の色が消えた。
七海の瞳には確かに恨みの念が窺える。
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