第8章 資材集め ーその1ー
レンが広間に戻ると五虎退の他に知らない青年がいた。全体的に黒ずくめで顔に妙なマスクをし、首に変わった襟巻きを巻いている。
「主様、助っ人を連れてきました!鳴狐さんです。」
紹介された鳴狐は、レンを物凄い睨らんでいる。
「…何か?」
レンは挨拶そっちのけで思わず聞いてしまった。
「…見張り。」
それだけぽつんと言うと、青年はそれきりそっぽを向き黙ってしまった。
レンは、本当に助っ人なのかと疑問に思う。
五虎退を見ると、はらはらとレンと鳴狐を交互に見上げていた。
レンは五虎退に手招きすると、ひそひそと話をし始める。
「彼はあなたの事情を知っているのですか?」
「えと、はい。そのはず、です…。」
段々と語尾が小さくなる様子に、不安が湧く。
「遠征に行く事を知っているのですよね?」
「知っている、と思います。」
「…あなたの口から説明しましたか?」
レンが問うと、五虎退はきょとんとしたまま首を振った。
本当に大丈夫なのだろうか?