第52章 審神者代理
「はぁぁぁぁ〜。つっかーれた。」
彼は自分のデスクの椅子にドスンと腰掛ける。
聞き込みも楽じゃない。
あいつの力を借りればちゃちゃっと済むのにと、心の中でぼやく。
「瀬戸さん、お疲れ様です。何か進展ありました?」
「いや、手がかりなしだ。どこに雲隠れしてるんだかな。」
そう言いながらスマホを開けると、メールが1件入っている。
件名を見ると七海からだった。
珍しいと思いながら開いてみる。
“お久しぶりです。
七海様は手が離せない為、長谷部が代筆しております。
空斗様はいかがお過ごしでしょうか。
本日は、急ぎ、探していただきたい人がおり、メールを致しました。
何分手がかりが殆どなく、困っております。
先ずは添付資料をご覧いただき、一度ご一報下さいますようお願い致します。
長谷部”
彼、瀬戸空斗は、七海の母方の従兄弟である。
世話焼きの彼は、奥脇の事情を知っていて、何かと七海に目をかけていた。
今も交流があるのはその為だ。
「たくっ。俺は探偵じゃねぇっての。」
ぶつぶつと文句を言っている割には顔が嬉しそうだ。
「…言ってることと顔の表情が合ってないですよ。」
案の定言われている。
「うるせ。ほっとけ。」
そう返してから添付資料を開けて二度見した。
添付資料とは写真で、あろうことかレンだった。
「どういうことだ?」
瀬戸は席を立つと、休憩スペースへと急いだ。