• テキストサイズ

君に届くまで

第52章 審神者代理



おそらく姉も似たり寄ったりの生活だったのだと、七海は思う。
ただ七海と違い、姉には歩み寄ってくれる人がいなかった。
だから禍ツ神に殺されてしまったのだろう。

彼等が禍ツ神に変貌する程の何かを、さゆりはしてしまったのだろうと思う。
だから、彼等を恨む気持ちは毛頭ない。
ただ、姉だけを責める気にもなれないのも事実だ。

ーあの時、私達は私達なりに手一杯だった。



「大丈夫ですか?」

思い出に耽っていた七海を気遣うように、長谷部からそっと声をかけられる。

「あぁ、昔を思い出していてね。
さゆりの名前を出してもあの人達は顔色を変えなかったのよ。」

「…知らないのでしょう。お姉様はきっと御名を教えていなかったのだと思います。」

「…そうね。私もそう思うわ。」

寂しいような、
悲しいような、
ほっとしたような。

七海は複雑な気持ちで外を眺めた。










「そう言えば、空斗さんには連絡がついた?」

「いいえ、連絡がありません。メールを送ってあるので、目は通してもらえるとは思いますが。」

長谷部は、PCのメールアプリを見つつ言う。
七海はそれを聞くと、ふぅとため息をつく。

「いつ連絡しても、すぐに繋がらない人ね。」

/ 1263ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp