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君に届くまで

第8章 資材集め ーその1ー


原因は何かとレンは考える。
遠征は本来6人で出陣するものだと、こんのすけは言っていた。だとすると、やはり人数の問題だろうか。はたまた五虎退の実力の問題か。
しかし、どちらも問題を解決するには時間を要する。
重症だと言う兄弟の容体が持つだろうか。刀だからといって悠長に時間をかけてもいられないだろう。

ふと、ぐすっぐすっと泣き声が聞こえ、レンは思考を中断した。声を辿ると泣き声は五虎退からだった。

「僕、僕が弱いばっかりに…。」

まあ、泣きたくなる状況なのはわかる。だが、気持ちは理解できない。
泣いたからといってこの状況は変わらない。助けてくれる者はないのだ。

レンはこういう時の対処がわからない。
旅先でも子守を頼まれては、逆に大泣きさせて失敗している。子守は向いていないのだ。

レンは一つため息をつくと、五虎退の側にしゃがみ込み彼を抱き上げる。
五虎退は驚きで涙が止まった。
レンはそれをちらりと見ると、すたすたと歩き始めた。






主様に抱っこされた、と五虎退は驚きで固まった。
しかもその足取りはしっかりしている。
華奢な体のどこにこんな力があるのか。

「あ、あの…。どこへ…。」

放心しながらも呟くように五虎退が尋ねると、

「休憩します。」

と一言返ってきた。
それを聞いて五虎退は焦る。このまま、話は無かったことになるのでは、と危惧したのだ。

「あの、あの!僕、まだやれます。がんばります!大丈夫です!やらせてください!」

五虎退はレンの服を掴んで縋るが、彼女は僅かに怪訝な表情をしただけで歩みを止めることはない。

「少し、落ち着きましょうか。休憩も戦略の内ですから。体力が回復次第、再度向かいます。」

その言葉を聞き、五虎退はほっと胸を撫で下ろした。
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