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君に届くまで

第8章 資材集め ーその1ー





本丸の東側にある鳥居を潜った先で、レンはじっと待っていた。

足元には、8畳程はあるだろう白い石盤があり、朱色で大きな方陣が描かれている。見たことがない文字が並び、解読は出来そうにない。
四隅には石灯籠が鎮座し、中には両手で抱えるくらいの大きな水晶が供えられている。
その周りを囲う様に、一抱えはあるだろう8本の柱が均等に建てられ、中心に向かって若干内側に反るように高く屋根が造られている。
さながら、八角形の御堂である。

水晶がまた光りだした。同時に石盤に描かれた方陣も淡く光を放つ。
その真ん中に疲れ切り座り込んだ五虎退が現れた。息を切らし、ぐったりと首を垂れている。

「…五虎退、結果は。」

とレンが問うと、五虎退は黙ったまま首を横に振った。
本日、5度目の遠征は失敗に終わった。






あれから翌日には、こんのすけから手入れの許可を得ることができた。
ただ、資材は支給されることはなく、自分達で集めなければならなかった。資材を集めるには遠征か戦場に行くしかない。
だが、戦場に行く事は許可が下りなかった。遠征も比較的難易度の低い、簡単な遠征しか許可を得ることが出来ず、その分報酬もそれなりだ。
だが物は試しと早速、こんのすけから操作方法を教わり、転移装置を使って資材集めに乗り出した。
周回するしかないなと考えていたが、現実はそれ以前の問題だった。


一番簡単で一番時間が短い遠征でも成功率が極めて低いのだ。たった5回の遠征でも疲弊は物凄い。

五虎退は、もうこれ以上の出陣は無理だろう事が窺い知れる。これは予想以上に骨が折れそうだ。
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