第52章 審神者代理
――五稜郭にてーー
「話が違うではないか!!」
奥脇は怒りに任せて机を叩いた。
江藤はその様子に竦み上がって、びくりと肩を揺らす。
「も、申し訳ありません。何分いつすり替わったのかも検討が付かず…」
「あれ程、あの女の術には気をつけるようにと言っておいただろうが!!」
奥脇は、江藤の言い訳に耳を貸すことなく怒鳴り返す。
「まったく役立たずめが!付喪神を支配できぬ審神者なんぞ初めて聞いたわ!よくその様で身内を推薦出来たものだな!恥を知れ!!」
奥脇は怒りが収まらず、思いつく罵詈雑言を江藤に浴びせた。彼は反論することも出来ず、悔しさに唇を噛んで握り拳を作り耐える。
「まったく!!その間、何とか足止めをしておいてやる!何とか妹を説得しろ!そして逃げた女を探し出せ!さもなくばお前の家への援助は白紙だ!前払金も返してもらう!!」
「必ず!必ず致します!!どうか援助の打ち切りだけは…」
「喧しい!!わかったらさっさと出て行け!!」
江藤の懇願も聞き入れることなく、奥脇は彼を部屋から追い立てた。