第51章 反撃
翌日早朝。
鶴丸と大倶利伽羅を先頭に、彼等は審神者の住居棟を訪れる。
玄関ドアをガチャリと開けて中に入るが、誰も出てこない。
いつもいる筈の黒服の男達がいなかった。
それどころか、審神者の世話係も見当たらない。
鶴丸は草履を乱雑に脱ぎ捨てると、足音を響かせて審神者がいるであろうリビングへ向かう。
だが、そこには誰もいない。
家全体に人の気配が無くなっている。
「いない…?」
加州が半信半疑で誰ともなく問いかける。
「みたいだな。念の為、見て回ろう。」
鶴丸の号令で、刀剣達はあちこちの部屋に散らばり、隅から隅へと探し回る。
各々確認次第、自然とリビングに集まった。
「いた?」
「いや。そっちは?」
「ううん。いない。そっちも?」
「こっちもいないぞ。」
「こっちもだ。」
大和守、厚、乱、太鼓鐘、大倶利伽羅が声を掛け合い、他の面々も、いない、と報告する。
刀剣達は互いに顔を見合わせた。
出て行った。
審神者が出て行った。
ゆるゆると喜びが込み上げる。
「「「……いやったあぁぁぁ!!!」」」
彼等は両手を上げ、互いに抱き合い背を叩いて喜び合った。