第51章 反撃
女は必死で考えていた。
どうしたら彼等を支配下に置くことが出来るのか。
最近は任務以外に呼び出すことは殆どなくなった。
命令を出してもその通りにしてくれないのだ。
どこかズレた結果を齎らす。
女はカーテンの隙間から彼等を観察するようになった。
何か、何でもいい。
突破口が欲しかった。
「あら…?」
そして、気づく。
彼等は鶴丸国永と大倶利伽羅を中心に動いている。この2人が統率しているようなのだ。
ご飯を食べるのにも、遠征に行くのにも、皆で集まって作業なり遊びなりをする時も。
この2人が指示を出したり、許可をしたりすることが多い。
「もしかしたら…。」
この2人を支配下に置くことが出来れば、他の者も統率出来るのではないだろうか。
支配するにはどうすれば、何をすれば…。
ふと、思う。
自分だったら。
命の危険が迫ったら、逃れられない命令を下されたら。
従わざるを得ないのではないだろうか。
女は手元の札を見る。
昨日、兄である江藤から貰い受けた札。
呪を増強できる紙札だ。
しかし、これは一枚しかない。貴重な為だと聞いた。
つまり、チャンスは一度きり。失敗は出来ない。
「これが最後。これが効かなかったら…。」
女は大事そうに、震える手で札を胸に抱いた。