第51章 反撃
「これも違う…。これもダメだな…。」
江藤は五稜郭の書庫で審神者の呪についての記述を探す。
どれも審神者の神気が呪に大きく影響するとしか書かれておらず、代理として赴く場合は、呪を使うことは基本的には無いようだ。
だが、それでは困るのだ。
正式な審神者でなくても、刀剣達を何とか統括しなければならない。
本当は妹を正式な審神者にしてしまいたかったが、既にあの女が契約してしまっている為、あの女が死なぬ限り妹が審神者になることはない。
そして、件の管狐はあの女が隠してしまって手元には無い。
更に、本丸の抹消申請は、世間の目が厳しくなったことを受けて審査が厳しくなってしまった。おそらくは提出したところで受理はされないだろう。
全てにおいてどん詰まりな状態にあった。
あの女の拘束は唯一の成功だと言えるだろう。
しかし、そこからが問題だらけだ。何もかもが上手くいかない。
あの女は地下に閉じ込められてから何の文句も言わずに黙って拘束されている。
普通はとち狂うか、発狂するかしても可笑しくはない状況なのに。
これでは交渉のしようがない。
「くそ…!」
江藤は苛立ちに任せて、両の手で机を叩いた。