第51章 反撃
――数日後…。――
「どうしてわたしの命令に従わないの!?」
今日も広間では、女の金切り声が響き渡る。
「命令には従ったでしょ?」
乱は煩そうに耳を塞ぎながら、横目で答える。
「これのどこが従ってるのよ!?」
女は遠征の報告書を乱に投げ付け、彼はひょいとそれを躱す。
「遠征に行けって言われたからちゃんと行って来たよ。」
「行っただけじゃ話にならないのよ!!」
握り潰され、皺々になった報告書にはどれも一言、殴り書きで任務失敗としか書かれていない。
彼等に全て書かせた結果、こうなったのだ。
これでは政府に報告のしようがない。
「こんないい加減な報告書じゃ、私が恥をかくのよ!どうしてあなた達は審神者を守らないのよ!!
鶴丸国永はどこに行ったの!?あの人に隊長を任せたはずよ!」
女は目を血走らせて広間を見渡すが、彼の姿は見当たらない。
それどころか一人も残っていない上、気配すらない。
「さぁ?まだ帰って来ていないのかもね。」
乱はそう言い捨てると、外に出て行ってしまう。
「ちょっとどこ行くのよ!?まだ話は終わってないわよ!?」
女が怒鳴ると、乱はぴたりと止まる。
「…何?」
彼は気怠げに女を見返すと、要件を問う。
「乱藤四郎!鶴丸国永を探しなさい!見つかり次第私の所へ連れて来て!いいわね!」
「はーい。」
乱はそっぽ向きながら、いい加減な返事を返し、去って行く。
「〜〜〜!!もう!何なのよ!!」
後には1人怒鳴り散らす女だけが残された。