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君に届くまで

第51章 反撃


広間への帰り道、加州は体の感触を確かめていた。
魂縛りの呪特有の絡みつく感覚は、綺麗に消えている。

加州の中にふつふつと歓喜が湧き上がる。

ー命令を回避することが出来た。
 悪意を跳ね除けられた…!

加州は自然と上がってきてしまう口角を何とか押し留める。
広間に着くと、粗雑に草履を脱ぎ捨て急いで中へと駆け込むと、ずるずると力なく膝をつく。

「加州!大丈夫か!?」

薬研が逸早く気がついて駆け寄るが、何だか様子がおかしい。
悲しんでいる様子がないのだ。寧ろ…。

「…やったあぁぁぁ〜…!」

加州は俯きながら体を少し丸めて小さくガッツポーズを作る。

「…やれやれ、心配して損した。」

薬研は苦笑しながら、加州の背中に手を置いた。
それを見て、広間にいた残りの面々が加州の周りに集まる。

「上手くいったのか。」

大倶利伽羅が問いかけると、加州は面を上げて、満面の笑みで親指を立てた。
それを見た刀剣達に喜びが広がる。

「特訓の成果あり、でございますね。」

鳴狐の狐が言った。
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