第51章 反撃
広間に戻った加州は大きくため息つく。またあの悪夢の再来だ。
「加州君。大丈夫かい?」
燭台切が気遣わし気に加州に声をかける。
「平気。このくらいの命令だったら、まだ可愛いもんだよ。」
加州は腰に手を当てて、不快気に顔を顰める。
「予想通り、でございますね。全く、あの方には恐れ入ります。」
近くにいた鳴狐のお付きが、彼の肩に乗ったまま、やれやれと首を振る。
「そうだね。でもその嗅覚があったからこそ、今まで生き残れて来れたのかもね。」
燭台切は穏やかに返した。
「加州、大丈夫か?」
鶴丸が加州に追いついて声をかける。
「大丈夫。全然平気。」
鶴丸はほっとした様子を見せた後、引き締めた顔付きになる。
「よし。俺達であいつを追い出すぞ。」
「うん。今度は言い成りにはならない。魂縛りの呪、破ってやる。」
加州は、ニヤリと笑う。
「よし、その意気だ。みんな、なるべくあいつから距離を取れ。そして命令をすり替えろ。バカになれ。」
広間に集まって来た一同は頷いた。
反撃開始だ。