第50章 主、幽閉
「…あの方は他に何か言っていましたか?」
江雪は少しの焦燥を滲ませて加州に尋ねる。
「あの家は別の誰かのものになるだろうって言ってた。レンを拘束して新しい審神者を立てるだろうって。」
「つまり、近々審神者を名乗る奴が住み着くってことか。」
太鼓鐘が考えを纏める。
「そうだね。レンが捕らえられた以上、そうなると俺は思ってる。」
「そうなれば、また嫌な奴が来るかもしれない…。」
小夜は、瞳に険を滲ませて手元をぎゅっと握り込む。
あの悪夢だけは、もう御免だ。
「お小夜…。」
江雪が痛ましそうに顔を歪ませて、小夜の握り込んだ手に自身の手を乗せる。
「俺も小夜の予想と同じ。こんな卑怯なやり方で迎える審神者なんて、きっと碌でもない奴なんだろうな、って思ってる。」
加州は皆から視線を外し、少し俯いた。
「レンは3ヶ月時間をくれって言ってた。その間に逃亡先を確保するからって。
けど、俺は逃げずに済むようにしたいと思ってる。3ヶ月待たずにレンを迎えに行きたい。」
「それは僕だって同じだよ。たぶんみんなそう思ってる。けど、どうやってそれをするの?」
大和守は加州に問いかける。