第50章 主、幽閉
「見せてくれ。」
薬研はレン額当てを手に取る。
相当に使い込まれ、細かな傷が無数に刻まれている。
この額当ては、何度も何度もレンを守ってきたのだろう。そう思うとなんだかとても重たい物のように感じてしまう。
最も特徴的なのが、額当ての真ん中に真っ直ぐ一文字に入った傷だった。何かのマークを真っ二つにしたその傷は、態とそのように傷を入れたかのように見える。
何の為に付けたのだろうか。
「…これが前に主様が話してくれた、里を抜けたという証なのでしょうか。」
横から覗いていた五虎退がぽつりと言った。
薬研は目を瞠り、五虎退を見る。
「このマーク、木の葉の形に似ていませんか?
それに主様のお国は、木の葉隠れの里、という所だったと思います。」
「そうだね。僕も聞いたことがある。」
「そう言えば言っていたな。」
五虎退の言葉に、燭台切と薬研は頷いた。
「…いいなぁ。レンのこと色々知ってて。」
加州は寂しそうに少し笑った。
「俺からすれば、こんな大事な物を預けてもらった加州が羨ましいけどな。」
薬研はそう言って笑う。