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君に届くまで

第50章 主、幽閉


加州の言葉を受けてそれぞれが小型機探しに乗り出す。

「こっちはいないぞ。」

「こっちもOKだよ。」

「こっちも大丈夫。」

「大丈夫です。いません。」

「こちらにもおりません。」

薬研、燭台切、乱、江雪、鳴狐が異常がないことを告げる。他の者も辺りを注意深く見回し、同様に頷いた。

「じゃあ、集まって。円になって。」

彼等は加州の指示に従い、座る。

「常に互いの後ろを気にしていよう。あと、どんなに驚いても声を上げないで。」

「わかった。」

乱が頷き、他の者も黙って頷いた。

「あまり時間かけられないから単刀直入に言うとね、あっちにいるレンは分身なんだ。
レンは今、現代に行ってる。」

加州の衝撃的な発言に皆が驚き、瞠目する。

「「「え…」」」

思わず叫びそうになった乱、五虎退、太鼓鐘が、隣にいた薬研、厚、大倶利伽羅に素早く口を塞がれる。

声を上げないでと、今言われたばかりである。

加州はやっぱり黙っておいて正解だったと、額に手を当てた。

「わりぃ…。」

太鼓鐘は苦笑いを浮かべて、加州に謝る。

「いつ入れ替わったんだ?」

鶴丸は不機嫌そうに眉根を寄せる。

「昨日のお昼過ぎに入れ替わった。」

「昨日のお昼過ぎっていうと…。」

乱が腕を組む。

「屋根裏に入った時だな。」

薬研が苦笑して乱の言葉尻を受けた。
鶴丸は後ろ頭をがしりがしりと掻きむしると、荒く息を吐いた。

「うん。レンはこうなることを予測してた。分身はたぶん捕まってる。」

「…地下か。」

鶴丸はちっ、と舌打ちし、苦い顔をする。
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