第50章 主、幽閉
「加州!どういうことだ!」
鶴丸は人目も憚らず、大声で加州に詰め寄る。
「そのまんまだよ。別命あるまでここで待機する。」
「お前…!」
鶴丸は加州の淡々とした態度に我慢がならず、彼の襟首を掴み上げる。
そして、尚も責め立てようと息を吸った時、加州はすっと鶴丸の耳元に口を寄せた。
「レンは現代にいる。あっちにいるのは分身。」
それを聞いた鶴丸は息を止め、瞠目する。
加州は鶴丸の手をそっと離すと、怪訝な顔をして見守っている面々に号令を出す。
「休むからここ締め切るよ。みんな障子閉めるの手伝って。」
彼等は訳がわからず困惑気味にのろのろと動き出す。
そして、各々自分の毛布を持ち、自分の席を確保する。
しかし、加州は3つある行燈の火を落とすことなく、障子側ぎりぎりに置くと、行燈から離れて辺りを注意深く見回す。
「何してるの?」
大和守が小声で問いかけると、
「みんなも探して。あの小型機がいないか確かめて。」
と小声で返ってきた。
「でも行燈には近づかないで。俺達の行動が筒抜けになるから。なるべく動きを抑えて。」
「…訳がわからないんだけど。」
乱が頬を膨らませて抗議する。
「ちゃんと説明するから。それには小型機がいると邪魔なんだ。」