第50章 主、幽閉
締め切った広間では、夜になっても帰って来ないレンを刀剣達がひたすら待っていた。
「いくらなんでも遅すぎやしないか?」
痺れを切らした鶴丸が口を開いた。
「まぁ…ね…。」
燭台切の中にレンの言葉が蘇る。
『何か仕掛けてくるならそろそろってことですよ。』
考えたくはないが何か仕掛けられたということなのだろうか。だとしても、レンのことだから、また上手く逃げ切ったとは思うが…。
ざわざわと燭台切の胸の内に焦燥が湧き上がる。
「ねぇ、見に行ってみようよ。」
乱が立ち上がる。
「ここでやきもきしてたってしょうがないよ。」
「そうだな…。」
呟いて薬研も立ち上がった。
「何も乗り込んでどうこうしなくてもいいんだ。大将を迎えに来たと言えばいい。」
それを聞いて全員が立ち上がる。
「そうだな。”レンを迎えに”行こう。」
鶴丸は冷たい声音で言う。
その顔は無表情でこそあるが、瞳には激しい怒りを湛えていた。