第50章 主、幽閉
「こちらが玄関になります。」
江藤は玄関を開けてレンを中へと促した。
広々とした玄関には、お洒落な花瓶に花が綺麗に飾られている。
誰も入っていないのか、汚れは少しも見当たらない。
「どうぞ。靴を脱いでお上がりください。」
後ろから江藤も入ってきた。
カチャリと閉まるドアが何とも居心地の悪さを掻き立てる。
江藤はレンにスリッパに履き替えるよう促すと、玄関に脱いだ靴を2人分揃える。
「先ずはリビングにご案内致します。」
そう言って、廊下を左に横切り中へと進んで行く。
レンも江藤に続く。
廊下を進むと突き当たりに吹き抜けになった大きな部屋に出た。窓と天窓から夕陽が入り、灯が必要ないくらいに明るくなっている。
「こちらがダイニングキッチンになります。」
リビングのすぐ隣に案内される。
広々とした空間に大きなテーブルが置かれ、椅子が6脚揃えられている。
大きな冷蔵庫が完備され、収納も大容量の様だ。
「こちらが客間となっています。」
そう言って玄関から右に進んだ場所に移動する。
その部屋には正方形の畳が並んだ和室になっていて、床の間には豪勢な花が飾られ、掛け軸がかけられている。
「次は2階へご案内致します。」
そう言って江藤はリビングに戻って行く。
レンはその間も注意深く部屋の中を見回す。
「こちらは書斎になります。」
階段を下に少し降った所に本棚らしき空の棚がずらりと並ぶ部屋に通された。
「2階に行くんじゃないんですか?」
「先ずはこちらから見て頂こうかと思いまして。」
そう言ってドアを開けると、少し広めの下階段が現れた。
「こちらは地下へと続く階段となっております。」
「何の為に地下なんて作ったんですか?」
レンは眉を顰めて問う。