第50章 主、幽閉
翌日の夕方近くになり、江藤が広間に訪れた。
「大変お待たせ致しました。審神者様の棟が完成致しましたのでお知らせに参りました。」
江藤がにこにこと笑みを貼り付けて言った。
「そうですか。ありがとうございます。」
レンも返事代わりに礼を述べる。
「是非とも審神者様に完成の程を見て頂きたいと思いますので、こちらにおいで下さいませんか?」
そう言って、少し頭を下げて礼を取る。
レンは眉を顰めた。
「…今からですか?」
「はい。折角ですので、出来上がった今ご覧いただきたく存じます。」
江藤は胡散臭い笑顔を貼り付けたまま面を上げる。
「彼等の誰かを連れて行ってもいいですか?」
レンが江藤に聞くと、彼は首を横に振る。
「審神者様の棟なので、先ずは審神者がお一人でご覧になってから近侍様をお招きください。」
これには刀剣達も江藤に不信感を抱いた。
「…何で今はダメなんだ?」
鶴丸は不信感を露わにして江藤に問いかける。
「申し訳ありません。規則ですので。」
そんな規則、聞いたことない。
初代の頃から顕現している者達は眉を顰めた。
「…わかりました。準備をするので、先に行っていてください。」
「準備ならわたくしもお手伝いを…」
「すぐに行きますから。先に行ってください。」
レンは江藤の申し出を遮り、強く言い放つ。