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君に届くまで

第49章 危機回避


夕飯時、燭台切の掛け声で皆が集まってくる。

大和守は、昼頃から加州がぼーっとしながらレンを見ていることが多い事を訝しむ。
常だったらない行動だと感じていた。

どことなく加州に違和感を感じてしまう。
何かがおかしい。

大和守はじっと見ていると、加州の襟の奥にちらりと見えていた金の首飾りが無いことに気づく。

「…ねぇ、清光。簡易転移装置はどうしたの?」

加州は驚いて手を止め目を瞠る。
それを見て、大和守に確信めいた仮説が浮かび上がる。

「あのレンはもしかして…」
「しっ…!」

加州は急いで周りを見回し、皆がこちらに気付いていないことにほっと胸を撫で下ろした。
大和守はそれを見て、途端に不機嫌になる。

「…いつ代わったの?」

大和守は声を抑えて問いかける。

「今日のお昼過ぎ。」

加州も大和守に倣って声を抑える。

「屋根裏に入った時か…。」

「そう。レンは言うつもりがないみたいだから黙っておいたんだ。」

「また騙すようなことして…。」

大和守は顔を顰める。

「まぁ、頭にはくるだろうね。俺だって逆の立場だったらきっと怒ったと思う。
けど、レンの立場に立つと、事を円滑に進める為にはしょうがないかなって気もするんだよね。」

「どういうこと?」

「今は詳しく言えない。レンの読みが正しければもうすぐ事が動くから。そしたら全部話すよ。」

大和守はそれを聞いて、はぁ、とこれ見よがしにため息をついた。

「絶対だよ。」

「うん。約束する。」


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