第49章 危機回避
「…レンは自分が拘束されるって考えてるの?」
「はい。そうなってからでは、私は絶対に逃げられないでしょう。」
レンは臆することもなく淡々と説明する。
「でも…。でもレンは強いじゃん。現代でだって人間をあっという間に倒しちゃったし。その力があれば…」
「監視されてる中でそれをするんですか?」
レンは加州の言葉を遮り、聞き返す。
「今回、私は政府の人間に危害を加えられないと思います。加えたら、政府はそれを大義名分にしてしまうでしょう。」
レンはそこで一度言葉を切り、加州を正視する。
「私は、政府がここを消すまでの時間稼ぎがしたいです。
なので、私は奴等に反撃が出来ません。」
加州は言葉が出なかった。
レンを止めるということは、レンに戦えと言わざるを得ない。
レン言うことが正しければ、それは、早々と本丸の消滅を招くことになるかもしれない。
加州はどうすることも出来ずに、唇を噛み俯いた。