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君に届くまで

第49章 危機回避


「あくまで私の考える最悪の可能性ではありますが、あの家はおそらく別の誰かの物になると思います。」

「どういうこと?」

加州は眉を顰める。

「ずっと考えていました。既に契約した私の活用法を。
もしも私だったら。
既に契約を取り消せない私を据え置きながら、別の誰かを審神者に立てるとするならば。
私を捕虜にして奥深く隠してしまうのが、一番効率がいい、と。そうすれば、新しく審神者になる人は何の制約も制限も負うことなく、あなた方を使役することが出来ます。」

「…何それ。」

加州は不愉快そうに顔を歪めた。

「更に言えば、私を処分する手間も省けて一石二鳥という訳です。
けど、そう考えると、政府の対応に色々と説明がつくと思うんです。」

「政府の対応?」

「私の為に家を建てると言いながら、私は一切意向を聞かれませんでした。最初に工事の日程を聞かされただけで、進捗も教えられていません。
これって、こちらの常識なのでしょうか?」

「どうだろう?政府の常識のような気もするけど…。」

加州は腕を組んで考えつつ答える。

「小型機での監視も疑問しか感じませんし。
極めつけは地下です。
この広い敷地で、地下を作る意味がわかりません。」

「まぁ…。確かに。」

現代がどれくらいの土地が一般と言えるかは知らないが、加州も朧げにではあるが本丸の敷地は広いという認識はある。

「今までの経験から言わせてもらえば、地下の用途なんて知れています。
人を拘束するのに地下は打って付けなんです。
全てを土に囲まれた逃げ場の無い牢になるのですから。」

加州はレンの言い様に息を呑んだ。
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