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君に届くまで

第49章 危機回避



「何してるの?」

そこへ、不思議そうにレンを見ながら大和守が問いかけた。
燭台切の手伝いが終わったらしい。

「天井裏に入りたいんだって。」

「何の為に?」

大和守は解せない様子で聞き返す。

「蜘蛛を探すんだって。」

その物言いで大和守は納得する。

「そういうことか…。」

そこへ、乱と薬研が広間に戻って来た。
レンも埃を落とし終わり、再び広間に上がる。

「大将、何してんだ?」

「埃を落としていたんです。あの押し入れの中に入りたくて。」

「何の為に?」

「面白い物なんてないぞ?」

乱と薬研は揃って首を傾げる。

「もしかしたら、目新しい発見があるかもしれませんよ?」

レンはそう言うが、彼らには何があるとも思えない。

「レンは蜘蛛を探したいんだよ。」

加州が苦笑しながらレンの行動の裏を話すと、乱と薬研は納得する。

「取り敢えず、もう一回拭いてきます。」

レンは埃だらけの雑巾を綺麗にすると、また押し入れに向かう。
二往復程したところで、レンはもう一度全身の埃を落とすと、口布を外し、加州ににっこり笑顔で話しかける。

「と、いうことで加州さん。付き合ってください。」

加州はそれを見て少し渋い顔をすると、長い長いため息をつく。

「…はいはい。」


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