第49章 危機回避
「…何やってんの?」
加州は、天井を徘徊するレンに怪訝な顔を向ける。
側から見ると、物凄く変な人に見える。
「隙間があるのか無いのか気になって。どうやら虫一匹入る隙間はありませんね。」
レンは天井を見回しながら答える。
その物言いに加州は引っ掛かりを感じた。
「蜘蛛がいるか調べてるの?」
加州は声を潜めてレンに問いかける。
「どうでしょう?単に気になっただけです。」
そう答えるレンの瞳には探るような色が見られる。
「…そっか。で、何か収穫あった?」
「特には。屋根裏も見てみたいんですが、どこから入れますか?」
レンが加州に尋ねると、彼は手近な押し入れを指さした。
「あの上の押し入れから入れるよ。でも、すっごい埃だらけだと思う。」
レンはそれを聞くと、少し考えた後、
「掃除しましょうか。」
と言う。
「…え?そこまでして見たいの?」
「はい。」
そう言って、にこりと無機質な笑顔を浮かべる。
レンが笑う時は含むものがある時だ、というのは加州も最近学んだばかりだ。
彼は到底放置する気になれず、軽くため息をつくと、
「待ってて。今、掃除道具持ってくるから。」
と言って、広間を出た。
「お願いします。」
レンは一足先に押し入れの中を見てみることにした。