第49章 危機回避
レンは、広間の屋根の上から建設場所を眺める。
養生がされていても、中側は薄ら透けて見えている。
屋根が出来て、ガラス窓が取り付けられて、外壁も整えられて。
完成間近であろうことが窺える。
レンはあぐらをかいて肘を乗せる。
視線の先には江藤がいる。
物凄く胡散臭いと思うのに、どうにも出来ない。
刀剣達がいるこの領域に土足で入られているような不快感がある。
「主様!ご飯出来ました!」
声が聞こえ、レンは立ち上がり下を見下ろすと五虎退がにこにこと笑いながらこちらを見上げていた。
「今行きます。」
レンは、もう一度建設場所を見遣ると、屋根からストンと飛び降りる。
「今日は質素におにぎり、だそうです。」
五虎退が何故か申し訳なさそうに言うので、レンは首を傾げて答えた。
「燭台切が作る物にハズレはないので大丈夫です。」
そういうことじゃないんだけどな、と五虎退は心の中で呟く。
レンはよく食べる。
本当は食べるだけ食べさせてあげたい、というのが本音だ。
それをしてやれない自分を不甲斐なく思う気持ちがあったのだ。
だが、レンは何も気にしてはいない。
寧ろ、質素に出来るのなら質素にした方がいい、という考えだ。
「五虎退?行きますよ。」
レンの背を見つめていた五虎退は、何も気にしていない様子の彼女に、こっそり安堵する。
「はい!」
いつか戦場に出て、沢山活躍して、報奨金が貰えるように頑張ろうと思う五虎退だった。