第48章 魂縛りの呪
江藤は、少し焦っていた。
あれは、わからないものから見たらただ戯れているようにしか見えないだろう。
審神者がやっていたことは、おそらく魂縛りの呪だ。映像を見る限り、成功率はあまり高くはなさそうだが。
教えたのは管狐だろう。
しかし、あれは教えられたからといって直ぐに出来るものでもない。練度が必要だ。
いつの間に出来るようになっていたのか。
江藤は、無意識に唇を噛む。
「…大丈夫。あの女はまだ魂縛りの呪しか出来ないはず。妖術さえ封じてしまえば…。」
自身に言い聞かすように呟く。
失敗は出来ない。
江藤にはもう後がない。
何としてでもあの女には大人しく引っ込んでいてもらわなければ。
いっそのこと、前の審神者のように傍若無人に振る舞ってくれたら堂々と始末出来るのだが…。
つらつらと考えながら江藤は、奥脇への報告の為に廊下を急いだ。