第48章 魂縛りの呪
――五稜郭にてーー
『『えぇぇ〜!!』』
広間の庭先から中の様子が映し出されている。
審神者が何事か言うと、座ったり立ったりした後に、刀剣同士で抱き合ったり、キスをしたり、変な踊りをしてみたり…。
行動は可笑しいが、皆どこか楽しそうにも見える。
その映像を監視していた者は、不思議そうに画面を注視する。
その時、入り口から江藤が入ってきた。
「何かめぼしい映像はあるか?」
「…何か始めたみたいなんですが。」
これです、といって監視員は江藤に映像を見せる。
「何をしているんでしょうか。」
監視員が不思議そうに江藤に尋ねるも、彼からは答えが返ってこない。画面を注視したまま、食い入るように見ている。
「…江藤さん?」
不思議に思ってそっと彼に呼びかけると、ハッとした様子で取り繕う。
「あぁ、何だ?」
「…こいつらが何をしているのか知っているんですか?」
「…さあな。何だろうな。」
嘘だな、と監視員は思う。
何か知っているような仕草を見せた後にそれを言うのはあからさま過ぎる。
「…そうですか。」
だが、聞かない方が身の為だということも知っている。
ここはタブーが多い所だと思う。
嘘をついてまで隠したい何かなら障らない方がいい。
「これ、どうします?保存しておきますか?」
「そうだな。念の為、保存しておいてくれ。」
「わかりました。」
監視員がそう答えると、江藤はまた部屋を出て行く。
「可哀想に。プライバシーなんてありゃしない。」
監視員はぼやきながらも命令通り、映像を保管する。