第48章 魂縛りの呪
「なら、今度は私の命令を捻じ曲げて受け取ってください。」
「わかった。」
いきます、と一声かけて深呼吸すると、絶対の意思を込める。
「太鼓鐘貞宗。大倶利伽羅を”殴れ"。」
太鼓鐘は少し考えた後、にっと笑い大倶利伽羅の元へ歩いて行く。
「伽羅、ちょっと座ってくれ。」
「何をするんだ?」
大倶利伽羅は怪訝な顔をして太鼓鐘を見遣るが、彼は笑うだけだ。
「まぁ、いいからいいから。」
大倶利伽羅をその場に座らせると、太鼓鐘は彼の背中側に回り、拳で肩甲骨辺りを叩きを始めた。
その姿は、殴っていると言えなくはない型だ。
「お、解けたぞ。」
太鼓鐘は、自由の戻った体を確かめるように手を開いたり閉じたりして、楽しそうに笑う。
「うん、いいですね。」
レンは満足気に頷くと、休んでいる薬研と厚に的を絞る。
「さて、もう一回行きますか。」
「…まだやるのか?」
「…もうへとへとだぞ?」
薬研と厚は渋い顔をしてレンを見る。
「まだまだ。安定して命令を回避できるまでやりますよ。」
そう言って、また命令を出し始める。