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君に届くまで

第48章 魂縛りの呪


「太鼓鐘貞宗。座れ。」

「…今度は俺か。」

太鼓鐘は諦めの境地で命令を受ける。

「ダメですって。逆らってください。」

「…わかったよ。」

太鼓鐘はレンの注意に渋々従う。

「太鼓鐘貞宗。立て。」

太鼓鐘はありったけの力で命令に逆らう。

「くそっ…!」

見るとやるのとでは、やはり大きな違いがある
体力もさることながら、気力も持っていかれる。神気も使っているのではないだろうか。
太鼓鐘は一度レンを睨みつけると、更にぐっと力を入れて、命令を断ち切る。

「だあぁぁ…。」

太鼓鐘は疲れ切ってだらんと仰向けにひっくり返った。

「ほら、次いきますよ。立ってください。」

レンが太鼓鐘を促すと、彼は渋々身を起こす。
彼女はそれを見てから、絶対の意思を込めて命令を出す。

「太鼓鐘貞宗。天井に立て。」

「いや、どう考えても無理だろ。レンじゃないんだから。」

太鼓鐘は解せないとばかりに首を傾げる。

「…まぁ、そうですよね。私もそう思います。」

レンは一つ息をつき頷いた。

「じゃあ、何でそんな命令出したんだ?」

「この術は、本人が理解できる命令、或いは実行可能な命令しかできない、と仮定します。」

太鼓鐘は成程、と思う。

「俺は天井には立てない。やり方も知らない。だから命令ができない。ってことか?」

「そうみたいですね。命令を受けた時に異変はありましたか?」

「少しあるな。けど、力が空回りしてるような感じだ。」

太鼓鐘は自身の体に触れながら、感覚を伝える。
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