第48章 魂縛りの呪
「レン!自分の服を脱げ!」
鶴丸は意趣返しとばかりに、レンに命令する。
「…!」
レンはピクリと体を反応させると、ボンっと音を立てて消えてしまった。
「「「「えぇぇぇ〜!!!」」」」
「それは私であって私ではないので、命令は無効です。」
違う方から声がしてそちらを向くと、江雪の後ろからレンが現れた。
「そんなのあり!?」
「現に命令が効かないんだから、ありじゃないですか?」
大和守が食ってかかるが、レンはのらりくらりと答える。
「ちょっと鶴丸!本気でやったの!?」
「本気に決まってるだろ!!渾身の一撃だったんだからな!!」
加州が鶴丸のせいだとばかりに責め立てるが、鶴丸は心外だとばかりに怒鳴り返す。
「まぁ、種明かしはその内してあげます。今は訓練中ですので、どんどんいきますよ。」
レンはそう言って、江雪と隣にいる小夜を見た。
「小夜左文字、江雪左文字。座れ。」
2人はレンの命令に静かに逆らった。
「…破った。」
「…同じく。」
「次いきます。」
レンは一度深呼吸をすると、強い意思を込めて命令する。
「小夜左文字、江雪左文字。求愛ダンスをしろ。」
「「くっ…!」」
2人は必死で抗うも、動いてしまう自身を止められない。
震えながらもそれぞれ別々の行動を取る。
江雪は手を羽に見立てて上下に動かし、左右にリズムを取る。
小夜は腕で大きく輪を作ると、江雪の周りを走り出す。
「…成程。命令により思い浮かんだダンスをしたんですね。」
レンは一人分析する。
「…おい、そろそろ解いてやれよ。」
太鼓鐘が見かねてレンを突く。
「やめ!」
レンが命令を解くと、2人は崩れるようにその場で膝をついた。
その顔は、薄ら赤みが差しているようにも見える。