第48章 魂縛りの呪
レンは、鶴丸の相手を探そうと広間を見渡し、大倶利伽羅が目に止まる。
「伽羅、ここへ来い。」
しかし、大倶利伽羅はそっぽを向く。
レンは首を傾げた。魂縛りの呪が効かない。
魂縛りの呪は、真名で相手の行動を縛る呪だ。
真名を呼ばれた者は、抵抗できない限り従うしかない。
そして、彼は刀剣男士だ。呪には弱い筈。
ということは、
「名前が違う?」
レンは鶴丸を向くも、彼はそっぽを向く。
「鶴丸国永、伽羅さんの本名を言え。」
鶴丸は先の展開を想像し、顔を顰めた。
レンに彼の名前を教えたくはない。
「お、大倶利、伽羅。」
しかし、悲しいかな。命令には逆らえなかった。
レンは納得した様子を見せ、大倶利伽羅の方を向く。
「大倶利伽羅、ここへ来い。」
大倶利伽羅はピクリと反応し、命令通りにレンの前まで歩いて来る。
その顔は、苦虫を噛み潰したようだ。
「要領はわかりますよね?一気にいきますよ。」
「地均しはないのか。」
「大丈夫そうかなって思って。いきます。」
レンは一度深呼吸し、絶対の意思を込める。
「鶴丸国永、大倶利伽羅。抱き合ってキスをしろ。」
「…小娘が、倍返ししてやる…!」
「ちっ…!あとで覚えていろ…!」
レンの命令に抗いつつも2人は憎まれ口を叩く。
「要は、呪を破ればその命令は無効になるんです。簡単でしょう。」
「軽く言ってくれるぜ…!」
鶴丸は文句を言いつつ顔を顰める。
そう簡単にはいかないから、これまで多くの仲間を失ってきたのだ。