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君に届くまで

第48章 魂縛りの呪


レンは一瞬吹き出しそうになるのを堪えた。

ーこれ、意外に面白いかもしれない。

レンにしてみたら、彼等が最も嫌がりそうな安全な命令を、と思いやってみただけなのだが、なんだかハマってしまいそうな面白さがある。

「お疲れ様でした。少し休憩してください。」

レンは2人にそう声をかけると、次に狙いを定める。
すると、そっと広間を後にしようとする加州、大和守、鶴丸が目に入る。

「鶴丸国永、加州清光、大和守安定。ここへ直れ。」

呼ばれた3人はピクリと反応し、壊れたロボットの様にぎこちなく振り向くと、これまたぎこちない動きでレンの前まで歩いて来た。

「要領はわかりますよね?」

そう問いかけると、3人は黙って頷いた。
レンはそれを見て、いきます、と一声かけると命令を出す。

「鶴丸国永、加州清光、大和守安定。座れ。」

3人は、三者三様に抵抗する。
先ず、鶴丸が呪を破って息をつき、続いて加州も体の自由を取り戻して肩で息をする。
大和守は少し座りかけたが気力で持ち直し、体の自由を取り戻して膝に手を当てる。

「いい調子ですね。
さて、”本気で”抵抗してくださいね。」

レンは深呼吸すると、絶対の意思を込める。

「加州清光、大和守安定。抱き合ってキスをしろ。」

「「やっぱりか〜!」」

2人は叫びながら互いに向き合い、顔を青褪めさせる。
鶴丸はそれを青い顔で見ていた。
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