第47章 政府の企み
「思ったんですが…。」
五虎退が話の区切りがついたところでおずおずと切り出した。
「逃げられないのであれば、いっそのこと結界の元であるお札を塀ごと壊してしまわれたらいいのではありませんか?」
「そうだよ。レンなら出来るじゃん!」
大和守は、いい案だとばかりにレンに言い募る。
「まぁ、考えなかったわけではないですが…。」
そう言いながらレンは腕を組む。
「出来なくはないと思います。ただ、それをあの小型機で映像を撮られて、それが全国に流れた場合、人の目にはどう映るでしょう?」
「え?だってそんなこと…、」
大和守は言葉を詰まらせる。
ないとは言えなかった。現にこの前、洋服店の店長である佐々木に国会議事堂での騒ぎを聞かれたばかりだ。
例えば、レンが本丸を壊す映像だけが流れた場合、それを否定する、或いは説明する手段が今の自分達には無い。
政府が自分達の都合のいいように流すだろうことは、簡単に予測がつく。
そしたら佐々木は、人間は、なんて思うだろう。
いい人だ、とは思わない気がした。
寧ろ、恐れるんじゃないだろうか。
自分達でさえ、初めてレンの力を目の当たりにした時は、畏怖の念があったのだから。
非力な人間からしたら、更に恐怖の念を抱くだろう。
「…十中八九、大将が悪者になるだろうな。」
薬研が口元に手を当てて険しい顔をする。
彼も大和守と同じことを考えていた。
「最悪の場合、この間の国会議事堂での事が槍玉に挙げられて非難されるかも…。」
燭台切も難しい顔をする。