第47章 政府の企み
「では何故、山姥切を質に取ったのですか?」
江雪が珍しく声を上げた。その表情は心底不思議そうだ。
だが、それは他の刀剣も同じである。
「あの場を安全に逃げ果せる為です。」
レンは少し困ったように言う。
「後々、政府の抑止力に少しでもなればいいな、くらいにしか考えていませんでした。」
「つまり、あの場を乗り切る為だけに山姥切を質にしたのですか?」
江雪は理解に苦しむといった風にレンに問いかける。
「…それ以外に使い道はありません。」
レンは、逆に不思議そうに首を傾げる。
なんて怖いやつなんだ、というのが彼等の正直な心情だった。
やはり、常識や感覚は普通ではない。
「それ、レンにとっては普通なの?」
「まぁ、戦術としては割とある手段ではあります。味方の安全をより確実にしますから。」
敵に回したら本当に恐ろしい奴である。