第47章 政府の企み
「そう言えば、山姥切の刀はどうしたんだ?」
戻ってきた鶴丸がレンに尋ねる。
「持ってますよ。そこの押し入れにしまってあります。」
レンは押し入れを開けると、布団と戸板の間に手を突っ込む。
「…あれ?」
だが、いくら手を突っ込んで探ってみても目的の物の感触に当たらない。
レンは布団を全て引っ張り出して、広げてみる。
そして空になった押し入れを覗き込むが、どう見ても刀は見当たらない。
「やられた…。」
レンは顔を顰めて舌打ちする。
「え!?盗まれたの!?」
加州は驚愕の声を上げる。
「そうみたいですね。」
「みたいですねって…。暢気だな。」
大倶利伽羅は呆れながらレンを見遣る。
これはかなりの一大事だと思うのだが、彼女は焦ることも落胆することもない。
「まぁ、あれは肌身離さずって訳にはいきませんでしたから、こうなるんじゃないかという可能性は考えていました。」
「わかってたんなら言えよ。」
太鼓鐘は呆れつつも、こんのすけを懐に隠した事に納得する。
「どおりであの刀について触れない訳です。最初からこうするつもりだったってことですね。」
レンは短く息をつくと、成り行きを見ていた彼等に向き直る。
「どうするんだ?」
大倶利伽羅が尋ねると、レンは肩を竦めた。
「どうにもなりませんね。まぁ、捨て置くしかないでしょう。元々、そんなに重きを置いてませんでしたし。」