第47章 政府の企み
レンが歩いて行くと、いくらも進まない内に重力が反転する。つまり、逆立ちになったのだ。
ちゃちだな、と思いつつも端に当たるまで慎重に足を進める。
ふと気づくと、バサバサと大きな音が聞こえてきて下を見ると、風に吹かれてはためくシートが目に映る。
丁度、真ん中らへんに来たようだ。
ここまで来て端に当たらないということは、半楕円状に囲われているものと推測出来る。
レンは慎重に歩くのを止めて、来た道をすたすたと歩き始めた。
広間の真上まで来ると、そこから離れてストンと屋根の上に降りる。
「…危なっ。」
レンの行動を見慣れない太鼓鐘は思わず目を眇める。
「あれはまだ大人しい部類だね。」
隣で見ていた加州は腕を組みながら呆れて見ていた。
3階から飛び降りることに比べればどうってことはない。
ないが、淑やかに降りて来いよ、とは思う。
「やはり、端はありませんね。半楕円状に覆われています。」
「そうですか…。切れ目があるなら主様だけでも逃げられると思ったのですが。」
五虎退はそう言って、しゅんと肩を落とす。
それを慰めるように、小夜が隣に座ってぽんぽんと肩を優しく叩いた。