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君に届くまで

第47章 政府の企み



「丁度いいので、燭台切もあの塀に触れてみてください。たぶん、触れないと思います。」

レンは広間の近くにある塀を指さした。
燭台切は首を傾げながらも、庭を突っ切り塀に近づくと、手を伸ばして触れてみる。
すると、触れる前に透明な何かに阻まれてしまう。

「これって…。」

燭台切は驚いて広間を振り返る。
レンが燭台切の視線を受けて、隣の鶴丸に何事か話すと、鶴丸は驚きの声を上げ燭台切の方に走って来た。
そして同じように塀に触れようと手を伸ばしては、透明の何かに阻まれる。

「これは…。」

鶴丸は驚きで二の句が告げない。

「いつから、こんなモノ張られてたんだろうね。」

これは確かに結界だ。
こんなことするのは政府しかいない。
怪しいのはあの江藤という男だろう。

「レンがいうには、みんなで一緒にシートの中を見に行った次の日には既にこうなっていたそうだ。」

「次の日には?ってことはもっと前から既に…。」

燭台切は腕を組んで、右手を口元に当てる。

「塀の四隅に触ることのできない札が貼られているそうだ。それが術の元だろう、と。」

鶴丸は目元を険しくした。

レンの方を見ると、彼女は、薬研と五虎退と何事か話してから、こちらに歩いて来た。

「どうしたんだい?」

燭台切はレンに尋ねる。

「いや、五虎退が結界の端がないのかと、聞くものですから。それで薬研が結界を登れないか試してみたらどうだ?って。」

無理だと思いますが、と言いながらレンは結界に足をかける。

「あ、行けるかも。」

彼女はそう言って透明の壁に垂直に立つと、そろりそろりと進み始めた。

「…はらはらする。」

「同感…。」

鶴丸と燭台切はまるで自分が登っているかのように手に汗握り、固唾を飲んで見守る。
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