第47章 政府の企み
その時、耳鳴りのようなキーンという音が微かに聞こえてきた。
「…何の音ですか?」
「何がだ?」
隣にいた大倶利伽羅には、この不快音は聞こえないらしい。
「この音は何処から…。」
レンは注意深く耳を澄まして出所を探る。
右、左…違う。前でも後ろでもない。
上…。
レンが上を見上げると、何かが夕日を反射しキラリと光る。
「どうしたんだい?」
燭台切が不思議そうにレンを見る。
「ちょっと気になる物が…、」
言いかけた瞬間、それはカサカサと動き出し、支柱の影に隠れる。
動いた…。
レンは足音を消し、何かが隠れた支柱に近づくと、そっと足をかけチャクラを足裏に集中させる。
そろりそろりと歩いていき、隠れた地点で一度止まる。
次いで印を組み、少し大きめの氷千本を1本生成すると、切っ先を下に構える。
そしてさっと飛び出すと、すぐ目の前に燻し銀の蜘蛛が一匹止まっていた。
逃げる暇を与えず、素早く氷千本を胴体に突き刺すと、カシャンと音を立てて動かなくなった。
「何かあったのか?」
薬研が下から心配そうに尋ねると、レンはちらりと顔を出し、そこからすとんと飛び降りた。