第47章 政府の企み
その日から早速人が入り、広間から少し離れた中央付近を整地し始める。
20人程の人が時空転移装置を使って出入りし、燃え残った廃材を運べる大きさに切って運んでいく。
何度も試して使えなかった転移装置が、あっさり使われているのは気分が悪い。
「…レン、どう見る?」
工事の様子を離れた所から見ていたレンの隣に鶴丸が立つ。
「何とも言えません。でも何か引っかかりますね。」
「引っかかる?」
「はい。モヤモヤします。」
「それって、あの江藤って奴か?」
「…まぁ、あの人自身にもモヤモヤしますが。それとは別に、政府の対応がモヤモヤします。」
レンは工事から目を離さず眇める。
「やっぱり、何か企んでるのかね…。」
鶴丸はため息をつきながら、腰に手を当て工事を眺める。
「…暫くは様子を見るしかありません。」
レンはそう言うと、くるりと向きを変え戻っていく。
「何処行くんだ?」
「燭台切の所です。畑をしようって話をしてましたから。」
気にはなるが、今は食料不足をなんとかしなければ。
レンにとっては死活問題だ。
「…そうか。がんばれ。」
審神者が畑をするのか、と鶴丸は内心複雑に思いながらも真顔で応援しておく。
燭台切が畑をするのであれば有機栽培だろう。
鶴丸は、馬糞や鶏糞の強烈な臭さを思い出し、思わず顔を顰めた。