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君に届くまで

第47章 政府の企み



「けど、無くなってからじゃ遅いんですよ。危険でも食べ物は確保しなければ。
加州さん、今残金どれくらいですか?」

「う〜ん…、残金はもうそろそろ無くなるかな。」

突然話を振られた加州は、財布の中身を思い出しながら答えて、はっとする。
この言い方ではレンの言い分に筋が通ってしまう。
隣では、大和守が加州を呆れた顔で見遣る。

「でも金子はあと6枚はあるよ。また換金してくれば大丈夫。」

彼は慌てて情報を付け足した。
だが、レンは納得できない。

「全く大丈夫って言えません。
既に1枚使い切ってしまう程、消費率が激しいってことじゃないですか。それで底をつかない訳がない。
やっぱり、貸してください。」

「だから、働くんなら俺が働くから!」

「経験がある私の方が有利です。」

「まぁまぁ。」

言い争いになりそうな空気に、薬研はやんわりと止めに入る。

「じゃ、野菜育てようよ。今の時期だったら白菜と大根がよく育つよ。蕪でもいいかな。」

いつの間にか、燭台切や大倶利伽羅が戻ってきていた。

「二十日大根とかだったら、あっという間にぽこぽこ出来るからうってつけだよ。」

そう言って燭台切はにっこり笑う。
天の助けとばかりに、加州と大和守は、あからさまにホッとした様子を見せた。レンはそれを半眼で見遣りながら考える。

「そんな上手く行くものですか?畑って意外に難しいって聞きますけど。」

「大丈夫だよ。比較的簡単な方だから。冬になると天敵の虫も出なくなるから育ちやすいんだ。後は霜や雪に注意すれば葱とかもすごく甘くて美味しいのが出来るよ。」

レンはそれを聞いて考え直す。

「じゃ、野菜を育てる方向でやってみます。どうやってやるんですか?」

「よし!俺も手伝う!」

「僕もやる!」

加州と大和守が元気よく食いついた。
何にせよ、レンが転移装置を諦めてくれて助かった。

先ずは色々確かめようと、レンが立ち上がった時、

「レン!政府が来たぞ!」

鶴丸が広間に駆け込んできた。
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