第47章 政府の企み
「でかい方の転移装置って使えないのか?」
一部始終を見ていた薬研が会話に割り込んだ。
「ちょっと薬研!」
加州が焦って薬研を止めようとする。
「試してみましたが、全く反応しませんでした。」
試したのか。抜け目がないな…。
加州と大和守は、同時に頭を抱えた。
「大将でもダメだったのか。こりゃ政府に止められてるな。」
「どういうことですか?」
「大将が寝てる間に、こんのすけが試してみたんだよ。けど、使えなくなっててな。加州達が買い物に出る時は、小さい転移装置を使ってるんだ。」
薬研はそう説明した。
「そうでしたか。」
成程。奴等、飢え死にでもさせるつもりだろうか。
「で?大将は何で小さい転移装置を使いたいんだ?」
薬研もレンの言い分を聞く。
「成程な。まぁ、大将は人間だからそりゃ焦るわな。しかもよく食うし。
だが、今この時期に本丸を出るのは得策とは言えないんじゃないか?」
うんうん、と加州と大和守は頷いて見せる。
レンとて薬研の言い分もわかる。わかるが飢えだけは御免だ。
今から冬が来る。森に入って食料確保ということも難しくなるだろう。